株式会社葵美術

株式会社葵美術と絵画について考える

〜葵美術知恵袋・シルクスクリーンが出来るまで〜

作家が描いた作品のクオリティーをそのままで保つ為に行なわれる版画の製作工程をご紹介します。緻密な作業を繰り返して1枚の版画が完成するまでをお知りいただければ、美術品を制作することの難しさと共に、作品のもう一つの歴史を知ることができるでしょう。


  1. 作品選択
    原画から版画作品におこすものを選び撮影し、ポジフィルムを作ります。そのポジフィルムを版画サイズに合わせトリミングし、どういう構成で進めてゆくか制作計画を立てます。

  2. 分色・分版(版下フィルム作り)
    絵柄のどの部分から、何色をどの順番で進めていくのかを決定し、その工程に最も適した技法を用いて版下フィルムを作ります。色を乗せたい部分の絵柄を鉛筆、面相筆、遮光ペンなどで書いたり、エアブラシやカッティング遮光フィルムなど様々な技法で再現します。

  3. 調色
    原画(ポジ)を忠実に再現する為、よく見比べて色を作り、試し刷りをしながら調整していきます。インクは溶剤の蒸発で乾燥するものや、紫外線で固まるUVインク、光沢のあるパールインクなど、種類も様々なものを使用します。

  4. 紗張り
    アルミ枠に紗をピンと張り、版を作ります。紗をしっかり固定させたら、1日おいてから紗の表面を洗い流して出来上がりです。版は1つの作品で50版から100版位使用します。

  5. 感光乳剤塗布
    インクを通過させる場所と遮断する場所を作るため、感光乳剤という液体を版の両面に塗ります。バケットに入れた感光乳剤を版の両面に、下方から上方へ一気に塗り、一度者の目を塞ぎます。ムラなく均一に塗布したら乾燥させ、製版作業まで保管します。

  6. 製版
    塗布した乳剤は、紫外線を一定時間当てると固まる性質があるので、絵柄フィルムを貼り付けることで感光する所(直接紫外線が当たる絵柄の周り)と感光しない所(絵柄にカバーされ紫外線が当たらない絵柄部分絵を作る。

  7. 現像
    製版が終わった版に水をあてて均一に流すと絵柄以外の部分は紫外線が当たった為乳剤が固まり流れずに残るが、絵柄部分は絵柄にカバーされ紫外線が当たらず固まっていないので流れ落ちます。ここで絵柄の形に穴の開いた状態となります。

  8. 目止め
    フィルム上に付いていた微細なホコリや鉛筆の芯から落ちた粉、空気中に舞ったホコリなどが付着して製版され、絵柄の周りに小さな穴が開いているので、注意深くチェックし、目止め液を塗って穴を塞ぎます

  9. 校正刷り
    印刷機に版をセットし版の上にインクをのせ、ゴム板(スキージ)でインクを押し出す様に刷っていきます。製版した版や色の出具合いを見て、さらに調整します。

  10. 本刷り
    校正刷りの刷り具合が良ければ、本刷りに入ります。(やり直しの場合、工程を戻って修正、調整をする)

  11. 検品・断裁
    全てを刷り終えたら、再度1枚1枚刷りムラやズレなどがないかチェックしていき、良いもの100枚程度を厳選し、サイズに合わせて断裁します。

  12. 解版
    本刷りが全て終わった版は、限定数以上刷れないように、そしてまた、新しく使えるように製版した絵柄を消します。

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