株式会社葵美術

株式会社葵美術と絵画について考える

〜葵美術知恵袋・版画のいろいろ〜

ひとくちに版画と言っても、その技法・表現方法はさまざまです。技法を知ることで今まで何気なく眺めていた作品が、より印象深く豊かになっていくはずです。版画はその名のとおり「版」に記した造型を紙にうつしてできる作品です。版の材料とつくる工程には様々な種類がありますが、ここではそのいくつかをご紹介します。


  • シルクスクリーン(孔版)

    シルクの布を版としますが、最近では丈夫な化学繊維(ポリエステル)の生地が使用されます。木やアルミの枠に生地を張り、感光乳剤(紫外線で硬化する特殊液)を塗布し版をつくります。 透明フィルムに光を通さないペンで描き、版に密着させ紫外線を当てます。その後、版を水で洗い流すと、ペンで描いた部分は乳剤が流れ落ちて穴があき(孔部分)、他は硬化してインクを通さない面として残ります。版の下に紙を置き、上からインクをのせヘラで描いたイメージを刷りだします。刷り重ねがしやすいのでたくさんの色数が使え幅広い絵画的表現ができます。インクのムラも少なく、発色がよいのが特徴です。


  • 木版画(凸版)

    浮世絵などでおなじみ、日本人に最も親しみのある技法です。子ども頃、学校でやったこともある方も多いかもしれません。木の板を彫刻刀で彫り、表面に凹凸をつけて版をつくります。そして凸部に絵の具をつけ、バレンで紙に刷り取るの が一般的な方法です。出来上がった作品は木目が残った素朴なものが多く、太く力強い線もこの技法ならではです。


  • 銅版画(凹版)

    銅の板を使い、版を作る技法です。銅板の表面をニードルで彫り、腐食液を使って彫ったところをへこませます。そのくぼんだ部分(凹部分)にインクを詰めた後、上に紙を置き、プレス機で圧力をかけて刷ります。インクが紙上に盛り上がる、独特な質感が魅力です。線の微妙な表情も出しやすい技法といえます。


  • リトグラフ・石版画(平版)

    この技法は、石灰石を版として用いていたため「石版画」の別名があります。しかし、現在ではアルミ版を使用されることが多いようです。版を彫ったり削ったりすることがないため、平版と呼ばれています。脂肪性のクレヨンやインクでアルミ版の上に描きます。そこにアラビヤゴム溶液を添布すると、化学変化によって描かれた部分は油性物質を引き付ける力 をもち、描かれてない部分は水分を保持するようになり、版の上に油性インクをローラーで転がすと、描いた部分にのみインクは付着します。版の上に紙をのせて、印刷機(プレス機)にかけ、インクを紙に写し取ります。筆のタッチや、クレヨンなどの淡い肌合いなど、幅広い絵画的表現ができるのが特徴です。


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